すい臓がんの特徴
すい臓がんについて理解するための前提として、すい臓について理解しておきましょう。位置としては、上腹部のみぞおちとへその真中からやや左上にある臓器で、細長い形をしています。消化酵素であるアミラーゼやリパーゼ、トリプリノーゲンを含む膵液の分泌と、インスリンやグルカゴンといったホルモンを分泌する機能を担っています。
すい臓がんになった場合の症状としては、腹痛や腰痛、背部痛、横断、食欲不振、体重減少、全身の倦怠感といったものがあります。他の疾患が原因で起こることのある症状であるため、特徴的な兆候があるわけではありません。また、初期症状はほとんど自覚がなく、気付いた時にはすでに進行しています。
実際、診断を受けた段階で、およそ7割の患者さんは手術を受けることができない状態になっています。手術なしでの完治は難しいのですが、発見された段階で手術できない患者さんが過半数を占めており、たとえ病変を切除できたとしても、再発する確率が高いため、生存率は非常に低くなっています。胃がんや大腸がんほど罹患率の高い癌ではありませんが、死亡率はとても高くなっています。
一般に、癌は定期検診を受けることで早期発見が重要であるとされています。これは事実です。しかしながら、検診は必ず癌を発見できるわけではありません。見落とす確率がありますが、これは癌の種類や部位、進行度によっても異なります。すい臓がんの場合には、初期症状の段階で人間ドックや健康診断を受けていたとしても、見逃されてしまう確率が高く、早期発見が難しいことが特徴です。発見された時には、余命が短い末期の状態であることもあるのです。
進行するほど、治療成績は思わしくないものとなります。病期(ステージ)に分けて生存率を見てみると、そのことが如実に分かります。ステージが進むほどに5年生存率は低下していきます。
すい臓がんの手術
治療の方法としては、手術と抗がん剤、放射線治療が一般的です。完治を目指す上で有力な選択肢は手術となりますが、適用できない例が少なくありません。ほかの臓器への転移の状態や全身状態を見ながら、病巣を切除することが可能かどうかを検討します。
すい臓の周囲には重要な血管がありますので、摘出は容易ではありません。執刀医は名医を選んでおきたいところです。切除範囲によって、膵頭十二指腸切除術や膵体尾部切除が行われます。
膵頭十二指腸切除術は高度な技術を要します。手術は10時間に及ぶこともあります。これに対し、膵体尾部切除では4時間程度で終わります。すい臓がんの手術を行う予定であっても、開腹してみたら転移が見つかり、中止することもあります。
すい臓がんの化学療法
抗がん剤を用いる治療です。かつては効果が薄く、副作用が強かったのですが、ジェムザールやTS-1のように新しい薬剤が開発され、かつてよりも効果が高くなっています。抗がん剤については、世界中で研究・開発が進められていますので、今後もより効果的な新薬の開発が期待されます。
副作用は薬剤によって傾向があるため、副作用がひどい場合には他の抗がん剤に切り替える場合もあります。
すい臓がんの放射線治療
手術と同じく局所療法です。外部から放射線の照射を行う方法の他に、開腹して放射線照射を行う術中照射もあります。痛みの軽減に効果的ですが、単独で完治を望める治療法ではありません。化学療法と併用することで、放射線の効果が高まるとされています。
癌細胞だけではなく、周囲の正常細胞にも照射されてしまうため、副作用として炎症や潰瘍出血が起こることがあります。
すい臓がんの集学的治療
複数の治療法を組み合わせて用いる方法を集学的治療と呼びます。単独で用いるよりも、組み合わせによってそれぞれの短所を補い、効果を高めるのです。
集学的治療の代表的な組み合わせとしては、手術と化学療法と放射線療法や、放射線と化学療法があり、抗がん剤を使う化学療法を入れたものが多くなっています。転移が進んでいることや、たとえ発見されなくても微細な転移が予想されることが多いため、全身に効果のある抗がん剤を使うことが多いためです。
外科や内科、放射線科といった病院の組織の垣根を越えて連携していることは、患者さんにとって大きな利益になります。しかし、すべての医療機関が患者優先の方針を徹底しているわけではありません。そうした観点からも、病院選びは重要になってきます。
予防
治療しても予後が悪く、検診による早期発見も難しいのであれば、すい臓がんは予防に全力を尽くすのが妥当であると考える方もいるでしょう。しかし、残念ながら十分な科学的根拠が示された予防の方法は確立されていません。
適度な運動やバランスの取れた食生活、禁煙、ストレスの少ない生活といった一般的な癌の予防策が提唱されている程度です。すい臓がんの原因についても完全に解明はされておらず、今後の研究が待たれます。
残念なことですが、肺がん予防における禁煙や、胃がん・大腸がん予防における食生活の改善のように際立った予防法は今の段階ではないということになります。
すい臓がんになったら
もしすい臓がんになったと診断されたら、病院選びが重要です。ただでさえ克服するのが難しい病気です。優れた名医がいる病院で治療を受けておきたいところです。医学は進歩しつづけていますので、最新治療を受けることも検討しておきたいところです。
しかし、実際には病院選びにおいて、情報不足が深刻な障害となります。これまでは考えたこともなかったのですから、仕方がないことでしょう。しかし、これからは他人事ではいられなくなってしまうのです。
分からないことは、詳しい人に聞くのが一番です。地元にかかりつけ医がいる場合には、尋ねてみてはいかがでしょうか。同業者ですので、やはり情報が集まりやすいため、参考になります。
末期における闘病
残念ながら、すい臓がんは末期症状になってしまうことが多くあります。死亡数と罹患数の間に大きな違いがないことからも、このことは裏付けられています。したがって、余命の宣告をされることも多くなります。
余命が数ヶ月と告知されることは辛いことです。冷静でいることは困難だと思いますが、生命の残り時間に期限が設けられることによって、有意義に過ごすことができるといった側面もあります。余命を使って成し遂げたいことや、片付けておきたいことについて整理してみてください。
限られた余命だからこそ、どのように生き抜くかが問われます。治療を行うことによって症状の進行を遅らせることはできても、末期になってしまえば治すことは困難です。生きていられる期間を大切にすることも現実的な対応なのです。
施設によって、緩和ケアへの取り組みが異なりますので、末期において充実した時間を過ごすために病院を選ぶことも検討したほうがよいでしょう。末期においては、腹部や背中の痛みをはじめとして、肉体的な苦痛も多くなります。さらに精神的な面でも不安定になりがちですので、そうした事情に精通した施設のサポートを得ることによって、負担を軽減することができます。
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